朝の健康観察を、あなどるなかれ!

朝の教室で健康観察をする小学校の先生 学級づくり

返事一つで、教室の空気は変わる

朝の会が始まる。

「〇〇さん。」

「はぁ……。」

ん?

元気なんか? 元気ないんか?

本人は「はい」と返事をしているつもりなのかもしれない。

ところが、次の子も、

「はぁぁ……。」

みたいな返事をする。

朝から、なんやこの空気。

それを聞いている周りの子どもたちも、少し笑ったり、ぼんやりしたりする。健康観察をしているだけなのに、教室全体がなんとなくだらっとしていく。

こういうことが、意外とある。

健康観察は、体調のよくない子がいないかを確認する時間だ。

でも、それだけではない。

その日、最初に一人ひとりの顔を見て、声を聞く時間でもある。

朝の健康観察を、あなどってはいけない。

顔を見て、声を聞く

僕は健康観察を始めるとき、

「健康観察です。しっかり顔を見せてください。」

と声をかける。

返事だけでは分からないことがあるからだ。

顔色はどうか。
目はしっかり開いているか。
声にいつもの元気があるか。
どこか落ち着かない様子はないか。

毎日見ていると、「今日はいつもと違うな」と感じることがある。

もちろん、返事が大きければ元気で、小さければ元気がない、という単純な話ではない。

朝から大きな声を出すのが苦手な子もいる。眠そうでも、少し時間がたてば、いつもの調子に戻る子もいる。

大事なのは、声の大きさを競わせることではない。

声の大きさというより、声の質を見る。

そして、一人ひとりの顔を見て、その子の返事を受け取る。

「先生は、ちゃんと自分を見ている。」

その感覚は、案外大きい。

子どもたちには、何のために返事をするのかを短く伝える。

自分の体調を先生に知らせる。
自分の番になったら、相手に届く声で返事をする。
返事をしたら、次の人へつなぐ。

それだけでいい。

健康観察を、朝から続く長い指導の時間にはしたくない。

短く、気持ちよく終わることが大切だ。

楽しくするなら、テンポを崩さない

健康観察を少し楽しくしようと、返事と一緒に一つの質問へ答える形にすることもある。

たとえば、

「今日の朝ごはんは?」

と聞いてみる。

「はい、ご飯です。」

「はい、パンです。」

と続く中で、

「はい、きゅうりです。」

と返ってくる。

「きゅうり!? 朝ごはん、きゅうりだけなん?」

こういうときは、ちゃんとツッコむ。

教室に笑いが起きる。答えた子も笑っている。僕もおもしろい。

子どもの返事をただ聞いて、次へ進むだけではもったいない。予想していなかった答えを拾うと、その子のことも少し分かるし、朝の空気も動き出す。

ただし、質問の選び方は大事だ。

「好きな色は?」

これなら、多くの子がすぐに答えられる。

「青。」

「ピンク。」

「緑。」

テンポよく進む。

ところが、

「好きなおにぎりの具は?」

となると、少し考える子が出てくる。

「えーっと……。」

「何やろ……。」

「鮭かな。いや、ツナマヨかな……。」

一人なら数秒でも、それが何人も続くと、待っている時間は長くなる。

自分の番ではない時間が長くなれば、どの学年でもだれる。

健康観察を楽しくする工夫が、健康観察を長くする原因になってはいけない。

質問を入れるなら、すぐに答えられるものにする。
答えは一言にする。
毎日ではなく、ときどきにする。

そして、おもしろい答えが返ってきたら、ちゃんと拾う。

何をするかと同じくらい、どこで切り上げるかも大事だ。

「次はもうしない」も、立派な工夫

やってみたけれど、思っていた空気にならないこともある。

返事が間延びする。
待っている子がだらける。
質問に答えることばかりに意識が向いて、肝心の体調が見えなくなる。

そんなときは、

「これは、次はもうしない。」

と決める。

続けることだけが工夫ではない。

「ちょっと長いな。」

「飽きてきたな。」

「これは雰囲気よくならんな。」

そう感じたら、次は変える。

教室ラボらしく言えば、健康観察も小さな実験だ。

やってみる。
子どもの姿を見る。
少し変える。
もう一度やってみる。

合わなければ、やめてもいい。

僕も楽しむことを忘れない

朝の会を工夫するとき、僕が大事にしていることが、もう一つある。

僕自身が楽しむことだ。

時間に少し余裕がある日は、いつもの「はい」を、

「イェーイ!」

に変えてみる。

返事と一緒にポーズをつけたり、手や体を動かしたりする日があってもいい。

質問を一つ入れる。
返事の仕方を変える。
あえて体を動かしてみる。

いつもと少し違うことをするだけで、子どもたちの表情が変わり、教室の空気が動く。

そして僕も、その反応を見ながら楽しむ。

教師が楽しむことを忘れない。

これは、意外と大切なことだと思っている。

特別活動的な視点で考えると、アイデアはいくらでも出てくる。

もちろん、健康状態を確認するという本来の目的は外さない。そして、毎日やる必要もない。

時間があるときに、ちょっと試してみる。

子どもたちの反応を見ながら、自分の学級に合う形を探していけばいい。

ぜひ、いろいろ実践してみてほしい。

朝の数分が、その日の教室をつくる

朝の健康観察は、ほんの数分で終わる。

でも、その数分の中に、子どもの体調も、声も、表情も、教室の空気も表れる。

一人ひとりの顔を見る。
返事を受け取る。
テンポよく次へつなぐ。

そして、気になる子には、あとでもう一度声をかける。

何となく名前を呼び、何となく返事を聞くだけでは、ちょっともったいない。

いつもの形を大切にしながら、ときどき少し崩してみる。

子どもたちと一緒に、教師も楽しむ。

健康観察は、その日の教室が動き出す最初の時間だ。

朝の健康観察を、あなどるなかれ!

この記事を書いた人
ラボ主

小学校教員、約20年。妻と、中学生・小学生の子どもと暮らしています。理科・体育を中心に、毎年のように研究授業にも取り組んでいます。
聞いて、見て、やってみる。ダメなら、またやり直す。そんなことを繰り返しながら、今日も教室であれこれ実験中です。

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