総合的な学習の時間についての研修を受けた後、勤務校の年間計画を開いてみた。
そして、3年生から6年生までの計画を、初めて縦に並べてみた。
一つ一つを見ると、どれも悪くない。
地域を歩く。
環境について調べる。
福祉について考える。
地域で働く人の話を聞く。
平和について学ぶ。
これまで先生たちが考え、積み上げてきた活動だ。教科とのつながりもあるし、地域の人に協力してもらう学習もある。
でも、縦に並べた瞬間、少し気になった。
「これ、学期ごとに別の活動をこなしているだけになっていないだろうか。」
一つ一つはいい。でも、つながりが見えない
これまでは、自分が担当する学年の計画を中心に見ていた。
今年は何をするのか。
いつ頃、誰にお願いするのか。
最後は何にまとめるのか。
一つの学年、一つの学期だけを見ていると、それほど違和感はなかった。
毎年続いている活動には理由がある。子どもたちも、その時間の中でいろいろなことを学んでいる。
ところが、3年生から6年生までを一度に見てみると、別のものが見えてきた。
一つのテーマが終わる。
次の学期になると、また別のテーマが始まる。
学年が上がると、似たような内容をもう一度扱っていることもある。
もちろん、同じようなテーマを繰り返すことが悪いわけではない。
学年が上がるにつれて、見方や考え方が深まっていくなら、それは大切な積み重ねになる。
ただ、今の計画からは、
「前の学びが、次の学びにどうつながっているのか。」
「学年が上がることで、どんな力が伸びていくのか。」
が、僕にはうまく見つけられなかった。
活動は並んでいる。
でも、学びはつながっているのだろうか。
そんな違和感が残った。

ゴールが「発表」になっていないか
もう一つ気になったのが、学習の進み方だった。
テーマを決める。
本やインターネットで調べる。
新聞やスライドにまとめる。
みんなの前で発表する。
総合では、よく見かける流れだと思う。
僕自身も、何度もこの形で授業をしてきた。
調べることも、まとめることも、発表することも必要だ。
だから、この流れそのものが悪いわけではない。
でも、発表した後はどうなっていただろう。
調べる中で生まれた新しい疑問を、もう一度追いかけただろうか。
友達の発表を聞いて、自分の考えを変えただろうか。
「知った」で終わらず、
「自分たちにも、何かできないだろうか。」
と動き出すところまで進んだだろうか。
振り返ってみると、きれいな新聞やスライドが完成したことで、学習そのものも終わったような気持ちになっていたことがある。
子どもたちの学びよりも、成果物の完成がゴールになっていなかっただろうか。

総合は、行ったり来たりしながら進む
研修で、探究的な学習は、
課題を見つける。
情報を集める。
整理して考える。
まとめて伝える。
という過程を、行ったり来たりしながら進むものだと学んだ。
まとめている途中で、情報が足りないことに気づく。
誰かに伝えたことで、新しい疑問が生まれる。
実際にやってみたら、思うようにいかず、もう一度考え直す。
そうやって、子どもの問いや考えが少しずつ更新されていく。
ところが、年間計画に活動名だけが並んでいると、どうしても、
「今年も、この活動を実施する。」
という見方になりやすい。
いつの間にか総合が、「決まった活動を順番にこなす時間」になっていたのかもしれない。
もちろん、子どもの問いを出発点にするのは簡単ではない。
待っていれば、都合よく問いが生まれるわけでもない。
教材や人との出会いをどう仕掛けるのか。
教師が答えを教えすぎず、子どもの「気になる」や「何とかしたい」をどう引き出すのか。
そこは、これからもっと考えてみたい。
今までの計画が、だめだったわけではない
ここは、間違えたくないところだ。
今ある計画が、すべてよくないとは思っていない。
地域、環境、福祉、産業、平和。
総合の教材になりそうなものは、すでにたくさんある。
地域の人と出会う活動や、相手を意識して伝える活動もある。
僕自身も、その計画を使って授業をしてきた一人だ。
だから、「これまでの総合は間違っていた」と、外から評価するような話ではない。
ただ、研修を受け、学年を越えて計画を縦に並べたことで、これまで見えていなかったものが見えてきた。
一つ一つの活動はよくても、全体として見ると、ぶつ切りになっているかもしれない。
調べて発表するところまではあっても、その先の問いや行動につながっていないかもしれない。
そのことに、今さらながら気づいたという話だ。
まずは、縦に並べるところから
具体的にどう見直すかは、これから考えていく。
今までの活動を、すべて新しくする必要はない。
残したい活動は何か。
教科や行事で扱った方がよいものは何か。
総合として、もっと深められるものは何か。
そんな視点で、一つずつ整理してみたい。
3年生から6年生までに、どんな力を育てたいのか。
似たテーマを扱うなら、学年が上がるにつれて何を深めるのか。
調べて発表した後、子どもたちの学びをどう続けていくのか。
まだ答えは出ていない。
でも、これまで学年ごとに見ていた計画を、縦に並べたことは大きかった。
新しい活動を考える前に、今あるものを少し違う角度から眺めてみる。
それだけで、見えてくる課題がある。
総合の計画に違和感があるけれど、どこから見直せばよいか分からない。
そんなときは、まず3年生から6年生までの計画を、縦に並べてみるといい。
そこから、総合の「つながり」を考える小さな実験が始まる。


