僕は、英語が得意ではない。
特に高学年の外国語には、少し苦手意識があった。
発音に自信があるわけでもない。子どもから予想外の質問が飛んでくると、
「それ、英語でなんて言うんやろ……。」
となることもある。
だから以前は、とにかく楽しい雰囲気をつくろうとしていた。
ある日の授業では、金髪のかつらまでかぶった。
教室は大ウケ。
子どもたちは笑っていたし、僕も楽しかった。
でも、授業が終わってから思った。
「あれ、今日の授業、何が身についたんやろ。」
楽しかった。
それは間違いない。
ただ、英語を聞いたり話したりする楽しさではなく、先生の金髪がおもしろかっただけかもしれない。
教師も「大きな子ども」になればいい
外国語の授業では、教師が完璧な英語を話さなければならないと思っていた。
でも、授業を重ねる中で、その考えは少しずつ変わった。
教師も、子どもと一緒に英語を使ってみればいい。
分からないときは、
「分からんなあ。」
と考える。
うまく言えなければ、知っている言葉やジェスチャーを使って伝えてみる。
間違えたら、
「あ、ちゃうわ。」
とやり直す。
外国語の授業で教師に必要なのは、完璧な英語を見せることだけではない。
間違えても、もう一度伝えようとする姿を見せることも大切だ。
教師が一番前で、英語を楽しむ「大きな子ども」になる。
そう考えると、少し気持ちが楽になった。
さらに一歩進めて、「分からない」をALTと一緒に仕組むこともできる。
教師が、子どもたちのつまずきそうなところで、少し困ってみせる。
「これ、英語でどう言うんやろ?」
そこへ、ALTが自然な英語で応える。
教師が聞き返したり、ジェスチャーを交えたりしながら、ALTと一緒に表現をつくっていく。
子どもたちは、そのやり取りを見ながら英語を聞き、意味を想像する。
本当に分からずALTへ丸投げするのとは違う。
どこでつまずき、どんな英語を引き出すのかを考えておく。
そこまで仕組めたら、もうプロの域やと思う。

教師は、ちょっとしたアクターになる
外国語の授業では、教師が少し大げさなくらい反応すると、英語の意味が伝わりやすくなる。
驚いた顔をする。
うれしそうにする。
困った表情を見せる。
ジェスチャーをつける。
言葉だけでは分からなくても、表情や動きが意味を考えるヒントになる。
そういう意味では、教師はちょっとしたアクターだ。
ただし、金髪のかつらで笑わせることが目的ではない。
大げさな表情や動きも、英語を聞き取り、意味を想像するために使う。
先生がおもしろいだけで終わるのか。
そのおもしろさが、英語を聞いたり話したりすることにつながっているのか。
そこは、分けて考えたい。
ゲームを「英語を使いたくなる仕組み」にする
外国語の授業では、ゲームを取り入れることも多い。
子どもたちは楽しそうに参加する。
ただ、ゲームが盛り上がるほど、
「勝った!」
「もう一回!」
と、日本語ばかりになることもある。
これでは、何の時間か分からない。
ゲームをするなら、英語を使うことで進んでいく仕組みにしたい。
友達に英語で質問し、答えに合う色を塗る。
答えを聞いてカードを集め、枚数を競う。
使いたい単語が聞こえたら、中央の消しゴムを素早く取る。
大切なのは、ゲームの中で何を聞き、何を話すのかだ。
英語を言わされているのではなく、
「伝えたい。」
「聞きたい。」
「やりたい。」
と思える活動にする。
ゲームそのものが目的ではない。
子どもが英語を使いたくなる理由をつくるために、ゲームを使う。
そこを意識するだけで、ゲームづくりも変わってくる。
ルールを一つ工夫すれば、自分の教室に合ったおもしろい活動が生まれるかもしれない。

英語が得意でなくても、一緒に授業はつくれる
英語が苦手だと、外国語の授業は少し怖い。
発音を間違えたらどうしよう。
質問に答えられなかったらどうしよう。
ALTの先生の英語が聞き取れなかったらどうしよう。
僕も、そう思うことがある。
でも、子どもたちも同じだ。
間違えたら恥ずかしい。
うまく言えなかったら困る。
友達に笑われたくない。
教師自身がつまずくからこそ、子どもが不安になるところにも気づける。
そして教師が、
「間違えても大丈夫。」
「もう一回やってみよう。」
という姿を見せれば、子どもたちも挑戦しやすくなる。
外国語が得意な先生の授業には、その先生ならではのよさがある。
でも、苦手な先生にもできることがある。
子どもと一緒に聞く。
一緒に考える。
一緒に言ってみる。
間違えたら、一緒に笑ってやり直す。
教師が完璧な話し手でなくても、子どもと一緒に外国語の授業はつくれる。
金髪のかつらで笑いを取っていた頃より、少しは英語の授業らしくなってきたと思う。
たぶん。
かつらは、もういらないだろう。
いや、たまには使ってもいい。
今度は、笑いの先に学びが残るように。


